マインドマップで覚えたいことを書けば1度で覚えられるか

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マインドマップ基礎講座で次のご質問を受けた。

「マインドマップで覚えたいことを書けば1度で覚えられるでしょうか」と。

 

本件は興味深い質問だ。

多くの方が興味を持たれることかもしれない。

そうでないかもしれない。

 

いずれにしても、記憶力が強くなることは関心があるだろう。

あるいは覚えたいことがある時は誰でもそう望んだことだろう。

特に、試験勉強をする時やプレゼンの準備をする時だ。

 

1度で覚えられるものなら、そうして覚えられることはとても望ましいだろう。もちろん、そのように考えたことは、正直に告白すれば以前に何度もある。特に資格試験の勉強をしている時は、そうだった。

 

では、現実はどうだっただろうか。

現実は「何度も」と告白したように、1度では覚えられなかった。

1度で覚えられなかったのは、能力の高低ではなく、それが自然なのだ。

 

どうして自然か。

説明すれば、脳がそうするのだ。

 

脳は重量比で体重の数パーセントしかない。だが、体全体が使うエネルギーのなんと25%を消費する。だから、生命維持も担う脳自身の働きから、省エネに働く。無駄にエネルギーを使わないように働くのが自然な脳の仕組みだ。

 

一方、何かを銘記し、それを記憶に変える。

そして、記憶を長期に保持することはそれだけエネルギーを使う。こうして、あれもこれも覚えようとすることはエネルギーを消費することになる。

 

つまり、一度であれもこれも覚えようとすることは、脳の仕組みに反する。よって、脳の仕組みから1度であれこれ覚えられない。

だから、冒頭に「1度で覚えられないのは、自然なのだ」とした。

 

また、1度で覚えられないことは、自然というよりある種の恩恵かもしれない。もし、全てのことを1度で覚えるようなことになれば、エネルギーを瞬く間に消費するからだ。

 

この事態はエネルギーを多量に必要とするような緊急事態に際したら、生命の危機を意味する。それでは困るので、危機に瀕しないようにエネルギー消費を抑える脳の仕組みが働く。だから1度で覚えられないことは、生命維持の観点から恩恵となる。

 

では、1度で覚えられないのなら、どうすれば覚えられるのか。

ここにまた脳の性質が関係している。

 

脳は生命維持も担っていた。

生命維持に関係していることなら別の仕組みが働く。

その仕組みを記憶の公式から始めよう。

 

繰り返しの回数×1回あたりのインパクト=銘記(記憶→保持)

 

左辺を説明しよう。

「繰り返しの回数」は同じことを何回繰り返したかの数だ。

「1回当たりのインパクト」は感覚や感情など各要素の強烈さだ。

 

特に、強烈さを取りそろえた典型が映画だ。映画は、まず感覚の強烈さを備えている。具体的には、カラフルな映像と、流れるようなメロディーと響きを帯びた音楽と、そして特殊な効果音で体を揺らす。

 

次に、ストーリー展開を使って笑いや恐怖といった感情的な強烈さを聴衆に与える。このように映画は強烈さを揃えているから、映画の内容を覚えようとしなくても、1度で確実に心に残る。

 

今度は右辺を説明しよう。左辺の値が低ければ、まず銘記が起こる。短ければ数分で忘却がはじまる。あるいは、数日間は覚えておける。

 

左辺の値が大きくなってくれば、銘記は記憶になる。数週間から1ヶ月くらいの間は覚えておける。中期記憶と呼べるものだ。

 

そして、左辺の値がさらに大きくなれば、数ヶ月から数年、場合によっては生涯にわたって覚えておける。つまり保持が起こる。これが長期記憶であり、試験で求められるものだ。

 

右辺は左辺の値で変化した。

左辺の積をどれだけ大きくするかで決まる。

 

例えば、試験勉強で考える。よほど特殊な才能の持ち主でない限り、法律の文言やテキストの内容に感覚的な、あるいは感情的な要素を感じにくいから、インパクトは低い。ここから、銘記を記憶に、記憶を保持に変えるには、繰り返す回数を増やす。

 

そう、1回で覚えられるような奇蹟が起こりにくいことが見えてくる。つまり、1回で覚えられないのだ。だから、繰り返し過去問を解いたり、英単語を発音したりする。だが、別の働きを起動させる可能性もこの公式が教える。

 

先に、インパクトが低いから繰り返しが求められるとした。

だから、逆にインパクトが高ければ、繰り返しの回数は少なくて済むのは当然だ。

 

その典型が、トラウマ的な記憶だ。皮肉にも、感覚的な、そして感情的な要素が揃っているからこそ、1度で銘記から記憶、そして保持へと脳はその出来事を保存する。

 

別の見方をすれば、トラウマのようなインパクトの高い体験は生命維持にかかわる。トラウマ的な体験でなくても、感情が揺さぶられるようなストレスの高い出来事は体に悪い。

 

例えば動物に襲われて恐怖を覚えるような体験は、できうる限りその再来を避けなければならない。避けられなければ命が危うい。また避けられない個体は生き残れない。

 

危うさを避けるためにはそれを経験した時や場所を脳に確実に保持することだ。それが、命を脅かすことの再来から身を守ることになり生命維持に役立つ。

 

まとめよう。ある出来事において1回当たりのインパクトを高くすることは、そうした生命維持のシステムを起動するから、銘記や記憶ではなく保持になる。決して、トラウマ的な体験をすることをすすめているのではない。

 

そうではなく、その仕組みを利用したものが、映画であり、効果的な勉強法である。ひいては「マインドマップで覚えたいことを書けば1度で覚えられるでしょうか」とした問いの答えになる。

 

つまり、インパクトを高くすればよいのだから、視覚や聴覚や身体感覚などできるだけ多くの感覚を動員し、感情的な要素が強まる環境でマインドマップを書くことだ。どこにそのような環境があるのかとお考えだろう。だからここからその答えを述べたい。

 

答えは、拙著で述べたティーチング勉強法をすることだ。自分が覚えたいことをマインドマップに書きながら人に教えてみることだ。と答えを見て気持ちがひいているだろう。なぜ、気持ちがひくのか。その状態がインパクトの高さを暗示しているからだろう。

 

そう。お察しのとおりである。人に教える場面には、緊張感やドキドキ感がある。下手をすれば死ぬほど恥ずかしい目にあう。逆に、上手くいけば賞賛がり高揚感がある。つまり、感情的な要素が十二分に揃っている。

 

そして書いているマインドマップに自分は刮目し、周りの意見を聞きながら、もちろん書くために動いているだろう。

 

このように、ハイインパクトな環境が人に何かを教える場面だ。だから、少ない回数で、上手くいけば1回で覚えることを望むならティーチング勉強法を実践することだ。

 

講師という人種は職業柄これを自然に実践している。だから、次々と新しいことを覚えられる。だが、恥をかく可能性もあるので、リスキーな仕事でもある。だが、記憶の面では、お鳥目をいただきながらものを効率よく覚えられるので、得もする。ありがたい。

 

記:BLI&NLPトレーナー、近藤哲生

 

 

 

最後に、近藤哲生事務局の西島からお知らせです。

そのような質疑応答も十分にできるチャンスがあります。

 

近藤が担当するマインドマップ基礎講座です。

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